📝 解説記事|病気やケガで障害が残った・障害年金を知りたい
仕事中にドライバーが倒れたとき、その会社はどう向き合うのか?障害年金を考える
公開日: 2026年10月5日 更新日: 2026年10月10日
こんにちは。
YUTOLI社会保険労務士・FP事務所の吉元 康裕です。
「仕事中にドライバーが倒れた。その後、障害が残ってしまった」
そんな事態は、どの会社でも起こり得ます。
私は運送業専門社労士として、運送会社の労務相談に対応していますが、以前、仕事中に倒れて救急搬送され、その後に障害が残った方について、ご家族から障害年金の相談を受けたことがあります。
そのとき改めて感じたのが、
「障害が残った後の生活を、どのように支えていくのか」
という問題です。
今回は、運送業に限らず、病気やけがによって障害が残った方や、そのご家族、企業の方にも知っていただきたい「障害年金」について整理します。
障害年金は、現役世代も対象になる
「年金」というと、老後にもらう老齢年金をイメージする方が多いと思います。
しかし、障害年金は違います。
病気やけがによって、生活や仕事などに一定の制限が生じた場合、現役世代でも受給できる可能性があります。
会社員など厚生年金に加入している方の場合は、障害厚生年金の対象になる可能性があります。
一方、国民年金の加入中などに初診日がある場合は、障害基礎年金の対象になる可能性があります。
ただし、
「障害が残った=障害年金を受け取れる」
という単純な制度ではありません。
いくつかの要件を確認する必要があります。
障害年金で重要な「初診日」
障害年金を考えるうえで、特に重要なのが初診日です。
初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことです。
初診日にどの年金制度に加入していたかによって、対象となる障害年金が変わります。
たとえば、厚生年金の被保険者である間に初診日がある場合、障害厚生年金の対象となる可能性があります。
そのため、
「今はどこの病院に通っているか」
だけではなく、
「最初に病院を受診したのはいつ、どこだったのか」
を確認することが大切です。
障害認定日はいつ?
もう一つ重要なのが障害認定日です。
原則として、障害の原因となった傷病の初診日から1年6か月を経過した日が障害認定日となります。
ただし、1年6か月を経過する前に傷病が治った場合や、症状が固定した場合などには、その日が障害認定日となることがあります。
また、障害認定日の時点では障害年金の等級に該当しなくても、その後、症状が悪化して等級に該当することがあります。
この場合には、事後重症による請求という仕組みがあります。
そのため、
「当時は軽かったから、障害年金は関係ない」
と、最初から判断しないことも大切です。
障害の状態だけでは決まらない
障害年金では、障害の状態だけでなく、保険料納付要件も確認する必要があります。
原則として、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの期間について、保険料の納付状況が一定の要件を満たしている必要があります。
また、一定の特例もあります。
つまり、障害年金を検討するときには、
* 初診日はいつか
* 初診日の時点でどの年金制度に加入していたか
* 保険料納付要件を満たしているか
* 障害の状態はどの程度か
といった点を確認することになります。
「働いているから障害年金はもらえない」は間違い
障害年金について、よくある誤解があります。
それは、
「仕事をしている人は障害年金をもらえない」
というものです。
しかし、障害厚生年金には1級・2級に加えて3級があり、障害の状態によっては、働いている場合でも対象になる可能性があります。
重要なのは、「働いているか、働いていないか」だけで判断するのではなく、
その障害によって、日常生活や仕事にどのような制限が生じているのか
ということです。
実際に受給できるかどうかは、傷病や障害の状態などを踏まえて判断されます。
仕事中に倒れた場合は、障害年金だけではない
仕事中に病気やけがをした場合には、障害年金だけを考えればよいとは限りません。
労災保険の対象になる可能性もありますし、状況によっては健康保険の傷病手当金など、別の制度が関係することもあります。
そのため、
「仕事中に倒れたから労災」
あるいは、
「障害が残ったから障害年金」
と、一つの制度だけで考えるのではなく、全体を整理することが重要です。
会社側としても、従業員や家族に対して、
「こういう制度があるかもしれません」
と情報提供できるだけで、意味がある場合があります。
障害年金を考えるなら、まず「初診日」を確認する
病気やけがによって障害が残り、
「障害年金を受け取れるのだろうか?」
と思ったら、まず確認してほしいのが初診日です。
そのうえで、
* どの病院を受診したのか
* どのような治療を受けてきたのか
* 現在どのような障害が残っているのか
* 仕事や日常生活にどのような影響があるのか
* 初診日の時点でどの年金制度に加入していたのか
などを整理していきます。
障害年金は、請求しなければ受け取ることができません。
「自分の場合は対象になるのだろうか?」
「何から調べればいいのかわからない」
という場合には、年金事務所や社会保険労務士などの専門家に相談することも一つの方法です。
障害年金は「その後の生活」を支える制度
病気やけがで障害が残ると、ご本人だけでなく、ご家族の生活も大きく変わることがあります。
仕事を続けられるのか。
収入はどうなるのか。
これからの生活をどう支えていくのか。
そんなとき、障害年金は生活を支える重要な制度の一つです。
だからこそ、
「障害が残ったけれど、障害年金について何も知らなかった」
ということがないようにしてほしいと思います。
障害年金は、病気やけがをした人すべてが受給できる制度ではありません。
一方で、要件を満たしているにもかかわらず、制度を知らないために請求を検討しないままになってしまうこともあります。
「もしかしたら対象になるかもしれない」
そう思った段階で、一度確認してみることが大切です。
私は、年金を専門とする社会保険労務士として、障害年金についても、できるだけ分かりやすくお伝えしていきたいと思っています。
