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運送業の人材確保と老後資産形成を考える――公的年金と企業型DCから考える、これからの福利厚生
公開日: 2026年10月2日 更新日: 2026年10月10日
こんにちは。
YUTOLI社会保険労務士・FP事務所の吉元です。
今回は少し視点を変えて、公的年金と運送業、そして企業型DC(企業型確定拠出年金)についてお話しします。
「年金」と「運送業」と聞くと、一見すると関係がないように思われるかもしれません。
しかし、実際にはこの2つは、運送会社の人材確保や従業員の将来設計という点で、深く関係しています。
特に現在の運送業では、ドライバー不足や人材の高齢化、若年層の採用、従業員の定着など、人材に関する課題が経営上の重要なテーマになっています。
その中で考えておきたいのが、
「従業員が長く働きたいと思える会社とは、どのような会社なのか?」
ということです。
■まず知っておきたい「公的年金のリアル」
私は社会保険労務士として、年金相談にも長く携わってきました。
年金については、
「将来、年金はいくらもらえるの?」
「年金だけで老後の生活は大丈夫なの?」
「年金制度はこれからどうなるの?」
といった質問をよく受けます。
一方で、年金制度については、制度そのものへの不安や誤解も少なくありません。
公的年金は、老後だけではなく、障害や死亡といったリスクにも対応する社会保障制度です。
したがって、老後資産形成を考える場合でも、まずは公的年金がどのような制度なのかを理解することが大切です。
そのうえで、公的年金だけに頼るのではなく、企業年金や個人による資産形成などを組み合わせて、将来の生活を考えていくことになります。
■運送業では「長く働ける会社」が重要になる
運送業の経営者・人事担当者の皆さまにとって、人材の採用と定着は非常に重要なテーマです。
ドライバーを採用しても、短期間で退職してしまえば、採用コストや教育コストが発生します。
一方、長く働いてもらうことができれば、経験や技能が会社に蓄積されます。
つまり、
「採用すること」だけではなく、「長く働いてもらうこと」
も重要です。
そのためには、賃金水準だけでなく、労働時間、休日、職場環境、キャリア形成、福利厚生、退職金制度など、さまざまな要素を総合的に考える必要があります。
■福利厚生は「給与以外の待遇」の一つ
従業員が会社を選ぶとき、給与は重要な要素です。
しかし、給与だけですべてを判断するわけではありません。
例えば、
・社会保険制度
・退職金制度
・企業年金
・住宅関連の福利厚生
・休暇制度
・資格取得支援
・健康管理
・将来の資産形成支援
なども、会社の待遇を構成する重要な要素です。
特に若い世代にとっては、目の前の給与だけではなく、
「この会社で長く働いたら、自分の将来はどうなるのか?」
という視点も重要になってきます。
ここに、企業型DCを検討する意味があります。
■企業型DCは「老後のためだけ」の制度ではない
企業型DCは、企業が従業員の老後資産形成を支援する制度です。
会社が掛金を拠出し、従業員自身が運用商品を選択して、長期的に資産形成を行います。
企業型DCを考える際には、
「退職金制度」
という側面だけでなく、
「福利厚生制度」
という側面から見ることもできます。
さらに、会社の採用・定着という観点から考えれば、
「従業員の将来まで考えている会社であることを伝えるための制度」
という意味も持ちます。
■なぜ運送業と企業型DCは相性を考えやすいのか
運送業では、ドライバーの採用・定着が重要な経営課題になっています。
そのため、給与制度や労働時間制度を整えることに加えて、
「将来まで含めて働くメリットをどう設計するか」
という視点が必要になります。
例えば、会社が
「長く働いてくれた従業員の将来を支援したい」
「採用時に福利厚生をアピールしたい」
「従業員の老後資産形成を支援したい」
と考えているのであれば、企業型DCは検討できる制度の一つです。
もちろん、すべての運送会社に企業型DCが適しているわけではありません。
会社の規模、従業員構成、賃金制度、退職金制度、会社の財務状況、経営者の考え方などによって、適した制度は変わります。
だからこそ、
「企業型DCを導入するか?」
だけを考えるのではなく、
「自社の人材課題は何なのか?」
から考えることが重要です。
■経営者自身の将来も一緒に考える
企業型DCを検討する際には、従業員だけでなく、経営者自身の老後資産形成について考えるきっかけにもなります。
中小企業の経営者は、会社経営に力を注ぐ一方で、自分自身の退職後の生活設計が後回しになっているケースもあります。
「会社をどうするか」という事業承継の問題と、
「自分自身の老後をどうするか」という資産形成の問題。
この2つは、別々に考える必要があります。
企業型DCを含め、退職金制度や資産形成について早い段階から考えておくことは、経営者自身の将来を考えるうえでも重要です。
■「企業型DCを入れましょう」から始めない
企業型DCについてご相談を受けるとき、私が大切にしているのは、
「企業型DCを導入すること」自体を目的にしないこと
です。
企業型DCはあくまで一つの制度です。
重要なのは、
「採用に困っているのか」
「従業員の定着に課題があるのか」
「退職金制度を整えたいのか」
「従業員の老後資産形成を支援したいのか」
「経営者自身の将来を考えたいのか」
など、自社が抱えている課題を明確にすることです。
そのうえで、企業型DCが選択肢になるのかを検討します。
これは、企業型DCに限った話ではありません。
人事制度や福利厚生制度は、「制度ありき」ではなく「経営課題ありき」で考える。
この視点が、中小企業の制度設計では重要だと考えています。
■運送会社の「これからの福利厚生」を考える
これからの運送会社にとって、人材確保はますます重要な経営テーマになっていくでしょう。
その中で、
「いくら給与を上げるか」
だけではなく、
「どのような会社なら長く働いてもらえるのか」
「従業員の将来をどのように支援するのか」
という視点も必要になります。
賃金制度、労働時間制度、就業規則、退職金制度、福利厚生、企業型DCなどを、それぞれ別々の制度として考えるのではなく、
「人が集まり、長く働ける会社をどうつくるか」
という視点から考えてみる。
その中に、企業型DCという選択肢があります。
公的年金を土台として、その上に企業年金や個人の資産形成を組み合わせる。
そして会社としては、従業員の将来を支援する福利厚生として活用する。
企業型DCは、こうした考え方の中で検討できる制度です。
運送会社の経営者・経営幹部・人事総務担当者の皆さまには、ぜひ一度、
「自社の従業員の老後資産形成について、会社として何ができるだろうか?」
という視点から考えていただければと思います。
企業型DCについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
▶︎ 【運送業の❝気になる話❞】今日は少し話題を変えて。国の年金のリアルと、運送業と企業型DCの相性の話
https://note.com/yutoli_sr/n/nff2c0e41dca
また、企業型DCについて、制度の仕組みや経営者・従業員それぞれのメリットを分かりやすく解説した記事も掲載しています。
「企業型DCを導入するかどうか」ではなく、「自社の人材課題をどう解決するか」。
その選択肢の一つとして、企業型DCを考えてみてはいかがでしょうか。
