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社会保険労務士 吉元よしもと 康裕やすひろ
YUTOLI社会保険労務士・FP事務所
📍 東京都江戸川区

📝 解説記事|家族が亡くなった・遺族年金をもらえるか知りたい

遺族厚生年金は5年でなくなる?2028年から始まる遺族年金の大きな見直し

公開日: 2026年10月7日 更新日: 2026年10月10日

こんにちは。
YUTOLI社会保険労務士・FP事務所の吉元です。

前回は、遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、特に配偶者にとっては「子どもがいるかどうか」が大きなポイントになることをお伝えしました。

今回は、その遺族厚生年金が大きく見直されることについてです。

最近、

「遺族厚生年金が5年で終わるらしい」

という話を聞いたことはありませんか?

これは、少し注意が必要です。

遺族厚生年金は、なぜ見直されるのか?

現在の遺族厚生年金には、男女による違いがあります。

背景には、かつての社会状況があります。

当時は「男性が主に働き、女性が家庭を支える」という家族・就労の形が一般的でした。

そのため、夫を亡くした妻については一定の年齢以上であれば遺族厚生年金を受け取りやすい一方、妻を亡くした夫には厳しい要件が設けられていました。

しかし現在は、女性の就業率が上がり、共働き世帯も増えています。

こうした社会の変化を踏まえ、2025年の年金制度改正では、遺族厚生年金について男女差を解消する方向で見直すことになりました。

20~50歳代の「子どものいない配偶者」が大きく変わる

今回の見直しの中心となるのが、

20~50歳代で、18歳年度末までの子どもがいない配偶者

です。

改正後は、60歳未満で配偶者と死別した場合、男女ともに原則として5年間の有期給付となる方向です。

これまで、

「女性は一定の年齢になると遺族厚生年金を受け取れるが、男性は受け取りにくい」

という男女差がありました。

この差をなくし、男女共通の仕組みに近づけるわけです。

ただし、ここで重要なのが、

「5年たったら、遺族厚生年金がゼロになる」という制度ではない

ということです。

5年間の有期給付が終わった後も、障害の状態にある方や、収入が十分でない方については、一定の要件のもとで給付を継続できる仕組みが設けられます。

最長で65歳まで継続給付の対象となります。

5年間にする代わりに「給付を厚くする」

もう一つ重要なのが、単純に給付期間を短くするだけではないことです。

改正後の有期給付には「有期給付加算」が設けられ、現在の遺族厚生年金よりも年金額を増やす仕組みが導入されます。

厚生労働省によると、現在の遺族厚生年金の約1.3倍となる仕組みです。

さらに、配偶者が亡くなった際に、その配偶者の厚生年金記録の一部を分割して、残された配偶者自身の将来の老齢厚生年金を増やす「死亡分割」も導入されます。

つまり今回の改正は、

「遺族厚生年金を5年に短縮する」

だけではありません。

「5年間の給付を厚くする」

「将来の老齢厚生年金にもつなげる」

「収入や障害の状態によっては、その後も給付を継続する」

という複数の仕組みを組み合わせています。

年収850万円の要件も見直される

現在の遺族年金には、生計維持関係を判断する際の収入要件があります。

その一つが、年収850万円未満という基準です。

今回の改正では、この収入要件も撤廃されます。

そのため、これまで収入要件によって遺族厚生年金の対象にならなかった人も、受給しやすくなる方向です。

さらに、女性に設けられている中高齢寡婦加算についても、将来的な廃止に向けて段階的に見直されます。

これも、従来の男女差を縮小していく改正の一つです。

では、2028年から全員が変わるのか?

ここも大切なポイントです。

今回の改正は、2028年4月から一気にすべてが変わるわけではありません。

男性については2028年4月から実施されますが、女性については急激な制度変更を避けるため、20年かけて段階的に実施されます。

また、

・すでに遺族厚生年金を受給している方
・60歳以降に遺族厚生年金の受給権が発生する方
・18歳年度末までの子どもを養育している方
・2028年度に40歳以上となる女性

などは、今回の見直しによる影響を受けないと厚生労働省は説明しています。

したがって、

「遺族厚生年金が2028年から5年でなくなる」

という理解では、今回の改正を正確に捉えることはできません。

大きな方向転換と考えたほうがいい

今回の遺族厚生年金の改正は、単なる給付削減ではありません。

社会の変化に合わせて、

「男性が働き、女性が家庭を支える」

という従来の役割分担を前提とした制度から、

男女共通の仕組みへ

転換していくことが大きなテーマになっています。

そのうえで、5年間の有期給付、給付額の上乗せ、死亡分割、継続給付などを組み合わせ、残された配偶者の生活再建を支える仕組みに変えていく。

2028年4月から始まる遺族年金の見直しは、私たちの働き方や家族のあり方が変わってきたことを、年金制度にも反映させる改正と見ることができます。

そして、ここまで制度を確認すると、次に気になるのは、

「では、実際に遺族年金はいくら受け取れるのか?」

ということではないでしょうか。

次回は、遺族基礎年金・遺族厚生年金の金額や、残された家族の生活を考えるうえで知っておきたいポイントを見ていきます。

最後までお読みいただきありがとうございます。

年金について、制度の仕組みから分かりやすくお伝えしています。

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