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社会保険労務士 吉元よしもと 康裕やすひろ
YUTOLI社会保険労務士・FP事務所
📍 東京都江戸川区

📝 解説記事|65歳になった・年金を請求したい

少子高齢化で年金は破綻する?「年金は何のための制度か」から考えてみる

公開日: 2026年10月7日 更新日: 2026年10月10日

こんにちは。
YUTOLI社会保険労務士・FP事務所の吉元です。

「少子高齢化が進めば、年金制度は破綻するのでは?」

公的年金について、そんな不安を感じている方は少なくないと思います。

高齢者が増える一方で、若い世代が減っている。

「昔は高齢者1人を何人もの現役世代で支えていたのに、今は少ない人数で支えなければならない」

そんな説明を聞くと、年金の将来が心配になるのも無理はありません。

しかし、ここには一つ考えておきたいポイントがあります。

それは、「65歳以上」と「65歳未満」という年齢だけで、人を「支える側」と「支えられる側」に分けてよいのかということです。

公的年金は「老後の貯金」ではない

まず、公的年金の基本的な性格を確認しておきましょう。

公的年金は、自分が払った保険料を将来自分が受け取る「老後の貯金」とは少し違います。

公的年金には、

* 老齢年金
* 障害年金
* 遺族年金

という役割があります。

つまり、老後だけではなく、病気やけがなどで障害が残った場合、家族を残して亡くなった場合にも生活を支える仕組みです。

そして、その財源は現役世代の保険料だけではありません。

保険料、国庫負担、積立金の運用収入などを組み合わせながら制度が運営されています。

公的年金を考えるときには、「自分が払った保険料が自分に戻ってくる」という発想だけでは、制度の全体像を捉えにくくなります。

「高齢者を若者が支える」という見方だけでいいのか?

年金についてよく使われるのが、「肩車型」というイメージです。

高齢者が増え、現役世代が減ることで、一人の現役世代にかかる負担が重くなるという考え方です。

確かに、人口構造の変化を見るうえでは分かりやすい説明です。

実際、65歳以上の高齢者1人に対して、65歳未満の人が何人いるのかを見ると、大きく変化しています。

昭和の高度成長期にあたる1970年には、65歳以上の高齢者1人に対して65歳未満が13.1人でした。

それが1990年には7.3人、2020年には2.5人まで減っています。

この数字だけを見ると、

「高齢者を支える若い世代が大きく減った」

と感じるのではないでしょうか。

しかし、ここで一度、別の見方をしてみます。

年齢ではなく「働いているか」で見る

資料では、「65歳以上の年金受給者を何人の65歳未満で養っているのか」ではなく、

「1人の就労者が何人の非就労者を支えるのか」

という視点が示されています。

つまり、65歳という年齢だけで「支える側」と「支えられる側」を分けるのではなく、実際に働いている人と働いていない人との関係を見るということです。

同じように1970年、1990年、2020年を比較すると、

* 1970年:就業者1人に対して非就業者 1.03人
* 1990年:就業者1人に対して非就業者 0.96人
* 2020年:就業者1人に対して非就業者 0.88人

となっています。

さらに、2040年には0.96人とされています。

「65歳以上」と「65歳未満」という年齢だけで比較した場合とは、見えてくる景色がかなり違います。

もちろん、これは「少子高齢化に問題がない」という話ではありません。

しかし、少子高齢化=公的年金制度の破綻と単純に結び付けてしまうのも、少し違うのではないでしょうか。

高齢者=「支えられる人」ではない

ここで重要なのは、65歳を過ぎても働いている人がいるということです。

また、女性の就業が広がったことも、日本の労働力を考えるうえで大きな変化です。

つまり、

「65歳未満=働く人」

「65歳以上=働かない人」

という分け方は、現実の社会をそのまま表しているわけではありません。

年齢だけを基準にすると、高齢者の就業や女性の就業といった社会の変化が見えにくくなります。

公的年金を考えるときにも、「何歳の人が何人いるのか」だけではなく、実際にどれだけの人が働き、社会を支えているのかという視点が重要になります。

では、少子高齢化は問題ではないのか?

ここは誤解してはいけません。

少子高齢化は、日本社会にとって大きな課題です。

働く人の数、社会保障の給付と負担、医療や介護など、さまざまな分野に影響します。

公的年金についても、少子高齢化によって何も問題が起こらないということではありません。

むしろ重要なのは、

「少子高齢化だから年金は破綻する」

と結論を急ぐのではなく、

「公的年金はどのような仕組みで運営されているのか」

「誰が負担し、誰を支えているのか」

「人口構造の変化に対して、制度はどのように対応しているのか」

というところまで考えることです。

公的年金は「社会全体で支える」仕組み

公的年金の本質を一言で表すなら、社会全体で生活を支える仕組みと考えることができます。

自分が高齢者になったときだけではありません。

病気やけがで障害を負ったとき。

家族を残して亡くなったとき。

そのときに生活を支える役割も公的年金にはあります。

だからこそ、「自分が払った保険料を自分が取り戻せるのか」という視点だけでは、公的年金の意味を十分に理解できません。

少子高齢化という人口構造の変化は確かに重要です。

しかし、それだけを取り出して「年金は破綻する」と考えるのではなく、公的年金がどのような社会保険制度なのかを知ることが、まず大切なのではないでしょうか。

「年金は破綻する?」と考える前に

公的年金には、将来に向けて考えるべき課題があります。

一方で、

「少子高齢化=年金破綻」

という一つのイメージだけで判断するのも適切ではありません。

年齢だけで「支える人」と「支えられる人」を分けるのではなく、就業している人と非就業者との関係を見る。

そして、公的年金が老齢・障害・遺族を含めて社会全体で生活を支える「保険」であることを理解する。

そのうえで、自分自身の老後については、公的年金だけに頼るのではなく、預貯金、個人年金、NISA、企業年金なども含めて考えていく。

これが、年金について考えるときの現実的な姿勢ではないでしょうか。

「年金は破綻する」と悲観するのでもなく、「年金があるから大丈夫」と楽観するのでもない。

まずは制度の仕組みを知ること。

そこから、自分の将来を考えていくことが大切です。

最後までお読みいただきありがとうございます。

年金について、制度の仕組みから分かりやすくお伝えしています。

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