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社会保険労務士 吉元よしもと 康裕やすひろ
YUTOLI社会保険労務士・FP事務所
📍 東京都江戸川区

📝 解説記事|65歳になった・年金を請求したい

2025年年金制度改正で何が変わる?「働く人」と「将来の年金」から考える

公開日: 2026年10月7日 更新日: 2026年10月10日

こんにちは。
YUTOLI社会保険労務士・FP事務所の吉元です。

「年金制度はこれからどう変わるの?」

「働きながら年金を受け取ると、年金は減るの?」

「社会保険の加入対象が広がると、自分の年金はどうなる?」

2025年の年金制度改正では、働き方の変化や高齢者の就業増加などを踏まえ、さまざまな見直しが行われました。

今回は、働く人や将来の年金に関係するポイントを整理します。

年金制度は5年ごとに「財政検証」されている

公的年金には、5年に一度、財政状況を確認する「財政検証」があります。

いわば、年金制度の「定期健康診断」です。

2024年の財政検証では、複数の経済・雇用状況を想定して、将来の年金財政が確認されました。

過去30年間の経済状況を前提としたケースでは、所得代替率は2024年度の61.2%から2057年度には50.4%になる見通しです。

また、モデル年金の実質的な金額は、2024年度の約22.6万円から2057年度には約21.3万円とされています。

年金の将来を考えるときは、「年金がもらえるのか」という二択ではなく、現役世代の賃金に対して年金がどの程度の水準になるのかを見ることが重要です。

「106万円の壁」も見直される

社会保険では、いわゆる「106万円の壁」と呼ばれてきた仕組みも見直されています。

これまで一定の条件を満たす短時間労働者は、勤務先の規模、週の労働時間、月額賃金などによって厚生年金・健康保険の加入対象となっていました。

「106万円」という数字は、月額賃金8.8万円を12か月分にした約105.6万円から呼ばれてきたものです。

今回の改正では、この賃金要件が撤廃され、さらに企業規模要件も段階的に縮小・撤廃されます。

社会保険への加入対象が広がれば、保険料負担が発生する一方、厚生年金への加入期間が増えることで、将来の老齢厚生年金にもつながります。

つまり、社会保険の適用拡大は、現在の負担だけでなく将来の年金にも関係する制度変更です。

働きながら年金を受け取る「在職老齢年金」

高齢になっても働き続ける人が増える中で、重要なのが「在職老齢年金」です。

これは、厚生年金に加入しながら働いている人について、

給与(月額)+老齢厚生年金(月額)

が一定の基準を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる仕組みです。

2026年4月からは、支給停止の基準額が65万円に引き上げられました。

ここで注意したいのは、「年収65万円を超えたら年金が減る」という意味ではないことです。

また、支給停止の対象となるのは老齢厚生年金であり、老齢基礎年金は対象ではありません。

高齢になっても働きたい人にとって、働くことと年金受給を両立しやすくする方向の見直しといえます。

厚生年金保険料の上限も見直される

厚生年金保険料率は18.3%で、労使折半です。

一方、保険料や年金額の計算に使う「標準報酬月額」には上限があります。

現在の最高等級は65万円です。

そのため、月給65万円の人も、100万円の人も、200万円の人も、上限を超える部分については同じ標準報酬月額として扱われます。

今回の改正では、この上限が段階的に75万円まで引き上げられます。

対象となる人は保険料負担が増えますが、その分、将来の老齢厚生年金にも反映されます。

「保険料が増える」という一面だけでなく、「将来の年金額にも影響する」という点を押さえておきたいところです。

年金の受け取り開始時期も重要

老齢年金は原則65歳から受け取りますが、受給開始時期を前後させることができます。

繰上げ受給では、1か月早めるごとに0.4%減額され、60歳まで繰り上げると最大24%の減額です。

一方、繰下げ受給では1か月遅らせるごとに0.7%増額されます。

例えば、

* 70歳まで繰下げ:約42%増額
* 75歳まで繰下げ:約84%増額

となります。

ただし、受給開始を遅らせれば、それだけで有利になるわけではありません。

健康状態、働き方、生活資金、配偶者の年金などを含めて考える必要があります。

また、繰下げでは老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に考えることができます。

「加給年金」などにも注意

年金には、本体の年金額だけでは分かりにくい仕組みがあります。

その一つが「加給年金」です。

一定の条件を満たす場合、厚生年金の加入期間が20年以上ある人に、65歳未満の配偶者や一定の条件を満たす子がいると、年金に加算される場合があります。

加給年金は「ねんきん定期便」にそのまま表示されるものではありません。

また、老齢厚生年金を繰下げている期間は、加給年金も支給されません。

さらに、配偶者が一定の年齢に達すると「振替加算」が行われる場合もあります。

年金の受け取り方を考えるときは、単純に「繰下げれば年金が増える」と考えず、こうした加算制度への影響も確認することが大切です。

年金制度改正をどう見るか

今回の年金制度改正を見ると、

* 社会保険の適用範囲を広げる
* 働きながら年金を受け取る人への支給停止を見直す
* 厚生年金保険料の上限を見直す
* 基礎年金の水準を維持する
* 長く働く社会に合わせて制度を調整する

といった方向性が見えてきます。

少子高齢化が進む一方、高齢者や女性の就業率は上昇し、社会保険に加入する人の範囲も広がっています。

年金制度を考えるとき、

「高齢者が増えるから年金は危ない」

という一方向の見方だけではなく、

「社会の働き方がどう変わり、それに合わせて年金制度がどう変わっているのか」

を見ることが重要です。

年金は老後だけの問題ではありません。

今の働き方、社会保険料、給与、そして将来受け取る年金。

これらはすべてつながっています。

制度改正のニュースを見たときには、「自分の年金はどうなるのか」という視点で、一つずつ確認してみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございます。

年金について、制度の仕組みから分かりやすくお伝えしています。

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